老舗企業の企業改革 組織化でマイナス成長企業からプラス成長企業へと変革
企業の現状と経営課題
1 社員数:30名〜40名 → 60名〜70名
2 当時の現状と経営課題
i マイナス成長・年功序列
・前社長のトップダウンの風土が残ったまま昔ながら指示待ちの社風そして生産性が悪い昔ながらのやり方に固執しており、若手社員が育たない社風であった
・事業承継後も内部体制の変更を試みるもなかなか改善されず、顧客離れが起こり毎年マイナス成長を繰り返していた ※7年~10年毎年1%ずつマイナス成長
・これまで人事評価制度がなく、キャリアパスの見える化ができておらず、新卒も定着せず優秀な社員が離職をしていっていた
・役職者も複数いたが、年功序列で昇進したこともありマネジメントには大きな課題があった
1. 取り組む目的
1 中期経営方針の策定+達成 人事評価制度の構築・運用で社員のキャリアを見える化し、社員が定着し、成果をあげられる組織への変革
i 組織風土を改革
・年功序列でトップダウンの組織風土であったため、成果をあげられる組織へと変革を行う
ii 人事評価制度の構築でキャリアパスを見える化
・新卒・若手の人材を採用しても退職をしてしまうこともあり、人事評価制度を構築+運用を行い、成果が上げられる人材を積極的に登用する
iii 経営サイクルの再構築
・単年度計画の策定からアクションプランの実行までを役職者及び役職者候補を中心となり、実行する組織(ボトムアップ型)に変革をする
2. 成果(どう変わったのか?)
1 マイナス成長企業からプラス成長企業へと変革
i 中期経営方針の達成と組織風土改革
・中期経営方針を達成し、この3年間で8%〜10%の成長率を実現することができた
・Vision及び事業戦略に即した組織図を創り、実力のある社員を積極的に役職者に登用をしていった
・結果としてこれまでの年功序列の考え方を持つ社員はほとんどおらず、組織・社員のことを考え、成果をあげられる人材が活躍する組織になった
ii 人事評価制度構築+運用
・人事評価制度を構築し、毎年運用することでブラッシュアップされた人事評価制度の定着を図ることができた、これまでのトップダウンの「えんぴつなめなめ」の処遇から制度設計に即して処遇に反映する組織になった
・給与・賞与などの賃金についてもパフォーマンス主義【成果(プロセス含)+能力+役割+組織への貢献度+自己成長度+市場価値】の考え方による賃金設計を反映することができた
iii 新たな経営サイクルの構築
・これまではトップダウン中心であったが、ボトムアップ型の経営サイクルを構築することができた
・役職者が自ら目標を策定し、その目標に向かってアクションを起こす組織と変革した
3. 経営戦略サマリー
1 長期経営方針・事業承継計画・中期経営方針の言語化
i 長期経営方針の言語化(10年後)
ii 中期経営方針(3年後)
2 組織改革のための人事評価制度構築・運用
i 人事評価制度本運用までの流れ
ii 人事評価制度構築
・現状分析
・人事現状分析
- 現状の人事関連情報を定量的に把握した上で現状の人事基準・指標を分析
・階層別ヒアリング
- 現状の組織・人事に対する課題を確認するために各階層別にヒアリングを実施
・人事評価制度構築プロジェクトの立上げ
・制度構築はプロジェクトを立上げ、プロジェクトメンバーを中心に構築をしていく
・人事評価制度構築の全体像
・Vision実現に向けた骨子を設計
・処遇に反映するまでが人事評価制度であるため、すべての制度設計を実施
・役職者向け研修の実施
・運用の核となる役職者が評価の目的・評価方法を理解・実践するための研修を開催
iii 人事評価制度仮運用
・人事評価制度説明会の開催
・目的は導入することを全社員に宣言すること
・人事評価制度は運用をして始めて理解が進む
・仮運用の実践
・評価者会議・フィードバック面談結果の共有会議など人事評価制度を実際に運用
・経営者や役員に依存しないよう役職者を中心に実施
iv 人事評価制度本運用
・仮運用期間を経て、人事評価制度のエラーなどをできる限り解消
・人事評価制度は「完成・完璧」はなく「生き物」であるため本運用をしながら制度改善を実施
3 経営サイクルの再構築 成果を追求する組織
i 経営サイクルの再構築
・年間経営サイクルを再構築し、どのようなサイクルで経営をしていくのかを決定
ii 単年度計画策定
・単年度計画の策定においても役職者中心に策定
iii アクションプラン
・部門・チーム・プロジェクトなどの単位でアクションプラン立案+レビューを実施
・レビューを繰り返すことで役職者の成長を促す
4. Focus and Createの立ち位置
1 組織人事アドバイザリー&実行支援 後に外部CHRO
i Focus and Createは、組織人事アドバイザリー&実行支援の立場として、組織人事領域を担当
ii 主に人事評価制度構築〜仮運用〜本運用を担当し、本運用後の浸透・定着までを完遂
iii また、必要に応じて採用戦略の立案・新入社員向け人材育成プログラムの構築・運用などのアドバイザリーも実施
5. アクション実行のポイント
1 「やりきること」
i 人事評価制度というものは、多くの中小企業が「途中で運用を辞める・諦める」ことが非常に多い、運用時にエラーは発生することはあるが、そのエラーに対処することでVisionを実現していくための人事評価制度が構築される
2 人事評価制度は決めたことを遵守し、ルール通りに運用する「社員への“同情”が組織を壊す」
①役員・社員それぞれが自ら人事評価制度を積極的に関わり運用をしていく
②キャリアは役職ではなく、働く人たちの姿から形成される
③数字だけで捉えない、組織における優秀な社員の離職率を下げる
④目標管理制度×評価制度で経営計画を回し、社内の仕組みを変える
⑤処遇には同情で調整を入れない、決めたことをやり切る
⑥平等ではなく、組織における公平を行うための仕組みである
⑦社員それぞれの価値観を理解し、個別対応で共に成長していく
6. 今後の展望
1 「次世代を活かす・キャリアを描ける組織へ」
i 組織の基盤は整ったため、次世代の社員が成長し、当社でキャリアを描けるような組織を創っていく
ii また、組織として新たな事業・サービスの開発が必要であるが、社員それぞれから「顧客のためにこれをやりたい」というVisionを大切にしていく
iii そして結果として「やりたい人」が「やりたいこと(事業・サービスを開発する)」で組織の拡大を図っていく
iv そして次世代に承継をしていく